運行管理システムは、ドライバーと車両を効率的に管理し、業務コストを削減するツールです。運送サービス業において、煩わしいと感じる作業をデジタル化することで、日報や運行計画をわざわざ手書きで行う必要がありません。しかし、ひと言に運行管理システムといっても種類はさまざまです。そこで今回は、トラックにおすすめの運行管理システムをまとめてみました。ぜひ参考にしてください。
運行管理システムとは?
運行管理システムとは、運行業務を効率化するために開発されたシステムです。車両に搭載したデバイスからオンタイムで情報を集約・把握でき、効率的な配送車両の運行を実現します。またクラウド化することで、業務負担の軽減にもつながるでしょう。
使い方も、デバイスに専用アプリをインストールし車両に搭載するだけと非常に簡単です。スマホにインストールすることも可能なので、いつでもどこでも運行状況を確認することができます。
なかには3秒ごとに位置情報を発信できるものもあり、煩わしいやり取りも不要になるでしょう。
トラックのデジタコと連携すると、さらに業務の効率化が図れるようになります。近年は、車両総重量7t以上/最大積載量4t以上の事業用自動車には運行記録計の装置が義務付けられているので、ほとんどのトラックにデジタコが設置されている状態です。
そのため、運行管理システムと簡単に連携でき、動態管理・運転日報・労務状態・運行状況など、あらゆる業務が一括で管理できるようになるでしょう。
たとえ対象外の車両であっても、システムとの連携は有益です。なかには低価格で導入できるデジタコもあるので、誰でも気軽に運行管理システムとの連携が実現します。
運行管理システムの主な機能・できること
運行管理システムの主な機能は、配送計画の作成・日報作成の自動化・走行状況の取得です。システムの種類によって付帯する機能は異なりますが、基本的に3つの機能を使って運行管理を行います。
配送計画
車両に応じたルート作成や割り当てなどが行えます。条件を加味して作成できるので、効率的な運送計画が立てられるでしょう。
なかには、AIを採用したシステムも存在します。
日報作成
トラック運送などの一般貨物自動車運送事業では、運転日報の記録と保管が義務付けられています。運転日報とは、出発地・目的地・走行距離・ETC情報など、日々の業務内容や進捗などを記載するものです。
交通事故や法令違反を未然に防ぐために欠かせないツールですが、一方でドライバーにとって負担になりやすく、走行距離に比例して、運行状況を正確に報告するのがむずかしいといわれています。
運行管理システムなら日報作成を自動化してくれるので、正確なデータを取得し記録できます。乗務終了後、わざわざ帰社してExcelへ入力する手間も省けるでしょう。
クラウド化が可能なシステムなら、クラウド上でデータ保存ができ、検索性の向上や情報管理も容易化します。勤務時間もドライバーごとに確認できるため、労務管理にも役立つでしょう。
走行状況
走行状況は、リアルタイムに把握できます。たとえば、どのように走ったか、どのルートを利用したかなどです。急発進や急停車、スピード超過などもすぐに確認できるので、万が一違反した場合はオンタイムで報告されます。
走行状態の可視化は、交通事故や法令違反の防止に役立ち、優良ドライバーの育成にもつながるでしょう。ランキングを作成し、ドライバーのモチベーションアップにつなげることもできます。
トラックで運行管理システムを利用するメリット
運行管理システムを導入することで、業務の効率化を図ったり、交通事故や法令違反を未然に防いだりすることができます。
ここでは、導入する前に知っておきたい「導入後のメリット」を紹介します。
事故や違反を防ぐ
ドライバーの運行状況を収集しデータ化するので、急発進や急停車といった危険な走行をすぐに察知します。そのため、交通事故や法令違反といったトラブルを未然に防ぎ、良質なドライバーの育成が可能になるでしょう。
また、万が一事故が発生した場合は、管理画面から事故現場を把握し現場へ急行できるので、大惨事も軽減できます。クラウド化しておけば、ドライブレコーダーに動画で走行記録が確認できるため、さらなる迅速な対応も可能になるでしょう。
労働環境を整える
運行管理システムなら、ドライバーごとの労務管理が可能になるため、運転時間・休憩時間・残業時間・待機時間などをきちんと把握できるようになります。
さらに、データをもとに一人ひとりに合った労務環境を提供すれば、過酷な労働環境で事故や過労死、健康被害などを引き起こすリスクも軽減できるでしょう。
フレキシブルな判断が可能
資材運搬車や大型車両の出入りが多い業種は、到着時間が厳密に指定されています。その理由は、主に荷捌きに必要なスペースを確保するためですが、効率よく作業を進めるうえで、やはり運行管理システムは非常に有り難い存在です。
車両が予定どおりのルートを走行しているかをリアルタイムで把握できるので、万が一遅延があった場合でもすぐに対応できます。ようするに、フレキシブルな判断が可能になるため、ストレスになりません。
ドライバーの勤務時間を確認しながら行えるので、超過勤務になる心配もなく、適切なドライバーが割り当てられるのもメリットでしょう。
配送効率が上がる
実働率や積載率など、データを可視化できるため、車両数を削減して配送できるようになります。
また走行記録はすべて自動保存されるので、たとえ配送計画からずれていてもすぐに原因を突き止めることができ、業務の改善に役立つでしょう。
人件費の削減
データに基づいて運転日報を作成できるので、業務効率が向上し、ドライバーの拘束時間を軽減できます。手書きの日報とは違い精度も高いため、確かな情報を共有できるのもメリットでしょう。
人手不足が深刻化しているドライバーだからこそ、無駄な走行時間を防ぎ、人件費を削減できるのは非常に助かります。
属人化の解消
運行管理システムは、管理のすべてを自動化するため、作成時間を短縮できます。専門知識や経験が求められていた作業が、誰でも簡単に配送計画が作成できるのは大きなメリットです。当然、業務の負担も軽減するでしょう。
トラックで運行管理システムを活用する方法
運行管理システムは、導入するだけで業務が効率化するものではありません。使いこなしてこそ効果を十分に発揮するため、具体的な活用方法をきちんと理解しておかなければいけません。
ポイントは、以下の3つです。
1つ目は、活用方法の説明をていねいに行います。運転日報の自動作成や位置情報の共有によるリアルタイムな状況報告は、事故や違反を防ぐ一方で、ドライバーは監視されていることへのプレッシャーを感じるかもしれません。
導入時は、きちんと目的・活用方法を説明し、労働環境や安全に大きく貢献することを理解してもらいましょう。
2つ目は、顧客管理システムの活用です。ルートを最適化するためには、正しい顧客情報が必要不可欠です。当然、きちんと配送されなければ、せっかくのシステムも水の泡になってしまうでしょう。
顧客管理システムや受発注システムと連携することで、これらを軽減できます。
3つ目は、データをフィードバックすることです。とくに走行データは安全運転指導にも役立つので、しっかりフィードバックし、業務を効率・改善させましょう。
運行管理システムは、正しい方法で活用すれば、より賢く業務をこなせるようになります。もちろん、そのままでも十分魅力的なシステムですが、顧客管理システムや受発注システムのようにほかのシステムを連携させることで、さらなる業務効率化が見込めるでしょう。
指示らくネット
基本情報
会社名 | 指示らくネット |
---|---|
住所 | 佐賀県鳥栖市藤木町1-48 |
電話番号 | 0942-87-3111 |
指示らくネットは、Googleマップを使って簡単に運行計画が作成できるシステムです。自動計算やアラートなど、運行管理に役立つ機能も充実しているので、初心者でもスムーズに導入できます。
機能が充実している
基本的な機能は、運行計画の作成・自動計算・休憩地の設定などが挙げられます。
運行計画はGoogleマップを使って簡単に作成できるので、煩わしさがなく、そのまま指示書への反映が可能です。また、一度検索したルートはマスタへ保存してくれるため、その都度検索する必要がありません。
ルートの変更・追加の編集やノウハウをシステム化できるのも便利でしょう。
自動計算は、ルート間の距離・時間はもちろんのこと、出発時刻を設定すると到着時間も自動で計算してくれます。ただし、積み下ろし地は1拠点のみです。
休憩地は、マップ上の候補地から選択できます。頻繁に利用する休憩地をマスタ登録しておけば、休憩のたびに設定する必要がありません。
このほかにも、ドライバーの運転時間・拘束時間を集計することで、労働環境も改善できます。
各種時間は、厚生労働省が定めた「改善基準告示」に沿ってチェックしますが、万が一4時間以上の運転・拘束があった場合はアラートでお知らせしてくれるので安心でしょう。
オプション機能でさらに効率化
指示らくネットは、そのままでも運行管理に役立つ機能が備わっていますが、自動休憩機能・配車計画の一覧化・タブレットへの連携などのオプション機能を追加することで、さらなる業務の効率化が実現します。
自動休憩機能は、運行ルートごとに設定でき、追加も簡単です。またボタンひとつで操作できるので、運行計画書もスムーズに作成できるでしょう。休憩候補地表示機能を使えば、適当な休憩地をピックアップしてくれます。
配車計画の一覧化は、車両・乗務員ごとのスケジュールや計画時の運転時間の集計を一覧ですぐに確認できます。作成した計画は自動でスケジュールに反映されるので、重複も防げるでしょう。
運行計画をタブレットへ連携し、ルート・休憩など必要な情報を表示します。新規で追加した場合、リアルタイムで通知してくれるので、わざわざ報告する手間も省けるでしょう。ただし、通知機能を利用するにはアプリのインストールが必須です。
トラックの運行管理システムのほかに、バスの運行管理(指示らくネットforバス)にも対応しています。
ビークルアシスト
基本情報
会社名 | ビークルアシスト |
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住所 | 東京都文京区本駒込2-28-8 文京グリーンコート |
電話番号 | 03-6634-8777 |
ビークルアシストは「BOXIL SaaS AWARD 2023」の車両管理システムで1位を獲得した人気のシステムです。安全な業務遂行を実現するために必要な機能を備えており、業務の効率化や生産性の向上などに役立ちます。
事故防止と安全運転を実現
ビークルアシストは、危険挙動の可視化や危険運転の警告など、動画や音声で知らせてくれる機能が付いています。
危険挙動とは、急発進や急停車、速度超過などが一般的です。これらの挙動は交通事故にもつながるため、発生時には管理者に通知され、動画で一部始終が確認できるようになります。
さらに、危険挙動が検知されると、ドライバーにも音声もしくはアラートで警告してくれるので、安全運転に対する意識向上にもつながるでしょう。
ほかにも、ドライバーの運転傾向や車両利用状況を分析し、指導ポイントを表示してくれます。前日の危険挙動回数をもとに運転評価メールも送信されるので、気をつけるべき点なども確認しやすいです。
業務の効率化と生産性の向上
煩わしいといわれているデータ管理も、ビークルアシストならクラウドに集約されるので、集計・管理の手間を削減できます。またリアルタイムな稼働把握は、営業・運行業務の生産性向上にもつながるでしょう。
管理業務の効率化に役立つ機能は、酒気帯び確認結果入力や日報の自動作成、動態管理などです。酒気帯びの確認結果は手動での入力になりますが、保存期間中(13か月)であればいつでも確認できます。
日報は、管理業務においてもっとも大変な作業です。一つひとつ手書きで作成するとなると、正確性が低く、誤った情報を報告してしまう恐れがあります。ビークルアシストなら自動作成が可能なので、抜け漏れの心配がありません。
また、高精度な走行ログデータから作成できるほか、酒気帯び確認結果と走行内容をまとめて管理できるので、手間も削減できます。
動態管理とは、車両やドライバーの位置情報をリアルタイムで管理する機能です。急な変更や依頼にも対応できるので、樋着時間の問い合わせもスムーズに行えるでしょう。
ほかにも、センター側から車両へメッセージが送信できる機能や車両利用の予約管理などの機能も装備されています。
Cariot
基本情報
会社名 | Cariot |
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住所 | 東京都港区新橋5丁目13番4号 YMG新橋ビル6F |
電話番号 | 050-1782-3760 |
Cariotは、ライブ中継や運転日報のデジタル化、データ分析による課題解決など、一般的な運行管理システムの機能に+αしたサービスが利用できます。
Salesforceを基盤としたクラウドサービスにも対応しているので、運転データと業務活動データをまとめて管理することも可能です。
4つの導入効果
Cariotを導入することで、主に4つの効果が得られます。
1つ目は「ライブ中継」です。同期は3秒に1回行い、位置情報とステータスをリアルタイムに可視化します。全車両に対応しているので、一度導入すればすべての車両の運行状況を確認できるでしょう。
わかりやすい運転軌跡・到着予定時刻の表示や位置情報とあわせて社外関係者に共有することもでき、コミュニケーションコストの削減につながります。
2つ目は「運転日報のデジタル化」です。ペーパーレス化による日報作成は、手書きや回収の効率化を図り、コストも削減できます。また管理者は、登録したデータをもとにリアルタイムで閲覧・編集・集計出力が可能です。
3つ目は「データ分析による課題解決」です。セルフカスタムで簡単にデータ分析ができる機能やドライバー・顧客ごとのデータ抽出が利用できます。万が一危険運転があった場合は、自動記録されるので、データに基づいた安全運転指導が可能です。
4つ目は「ドライバーの定着率アップ」です。システムを導入することで煩わしい業務が軽減するので、本業に集中できるようになります。さらに、属人性を減らしてドライバーの定着率もアップするでしょう。
豊富な機能で利用しやすい
Cariotでは、車両の現状を把握・共有できる機能とデータを蓄積・分析する機能の大きく2つにわけられます。
車両の現状を把握・共有できる機能には、DriveView・エリアマップ・車両予約・配送計画・遅延の検知・到着/出発通知などがあり、運行管理に欠かせない日報・月報、危険運転検知、荷量情報管理なども装備されています。
また、酒気帯び運転を防ぐための「アルコールチェッカー」も標準装備されており、Bluetoothと連携すると、手持ちのスマホから簡単にアルコールチェックが可能です。
チェックした結果は管理者がリアルタイムで確認できるので、陽性者や未チェックもすぐに把握できるでしょう。
データを蓄積・分析する機能には、運転報告・走行データ/走行データ分析・速度マップ・駐車イベントマップ・レポート作成などがあります。サクセスパッケージを利用すれば、インストール後に簡単な設定を行うだけで課題に応じたシステムが利用できるでしょう。
SalesforceCRM×車両動態管理クラウド
SaleforceCRMの標準機能が利用できるクラウドサービスです。このサービスでは、顧客単位で簡単に集計・出力ができ、出力データは請求や業務分析にも活用できます。さらに、必要な項目やデータを柔軟にカスタムできるので、使いやすいのもポイントです。
アラートメール通知や承認プロセスなどを設定すれば、円滑な現場運用も可能になるでしょう。
まとめ
トラックにおすすめの運行管理システム3選を紹介しました。同じ運行管理システムでも、企業によってサービス・特徴が違うため、導入する際は自社との相性も考慮しなければいけません。また、チェックしておきたいのが初期費用・月額費用です。今回は費用については記載していませんが、導入する際は事前にきちんと確認しておきましょう。たとえば「Cariot」なら、導入費用0円+契約台数とアカウントに応じた月額費用が設定されています。運行管理システムの導入を検討している方は、ぜひ今回の記事を参考に、自社に合ったサービスを選びましょう。