運行管理システムとは本部と現場との連携を深め、よりスムーズな運行をサポートするシステムのことです。運行計画の作成や配車管理などの直接的な業務から事務的な業務まで、幅広く対応しています。
運行管理システムには大きく分けて、パッケージ型・カスタマイズ型・特化型の3種類があります。それぞれの機能を理解して、自社に合った製品を選ぶことが大切です。
そこで今回は、運行管理システムについて詳しく解説していきます。
運行管理システムとは
運行管理システムとは、車両とドライバーの両方を管理するシステムのことです。運行ルートや配車の最適化が図れるので、業務効率が高まります。
運行管理システムでは、GPS機能を利用して、車両ごとに管理を行うことができます。車両から情報収集することで、運転状況の指導などに役立てられます。
運行管理システムは、専用の車載器を取り付けるものからスマートフォンを活用するものまで、多種多様な製品が開発されています。
運行管理システムは大きく分けて2つの機能がある
運行管理システムは、大きく分けて、運行に直接関わる機能と事務的な機能の2種類が搭載されています。それぞれ詳しく解説します。
運行業務に関する機能
運行管理システムには、その名の通り車両の運行を管理する機能が備わっています。その代表的な機能が、「運行計画の作成」と「配車の管理」です。
これらの業務は、目的地までの所要時間や運行ルートなどの深い知識を必要としており、未経験者には難しいとされていました。しかし、運行管理システムを導入することで、これらの業務が簡略化されます。
運行管理システムは、データベースを基にしたシミュレーション機能が搭載されています。自動で運行計画を作成してくれるので、従業員にかかる負担を軽減することができます。また、その分本来の業務に専念できるようになります。
さらに、運行管理システムを活用することで、事故や渋滞の発生などに柔軟に対応できるようになります。本部の管理者は交通情報とドライバーの位置情報を同時に把握することができます。リアルタイムでドライバーに情報や指示を伝えることができるので、配達の遅延などのトラブルを未然に防げます。
なお、運行管理システムは、業種ごとに機能が設計されています。そのため、業種ならではの専門的な作業の効率化が期待できます。たとえば、輸送業に特化したシステムの場合、トラックと倉庫との連携を高める「倉庫連携機能」が搭載されています。
またそのほかにも、タクシーチケットなどの請求書発行業務を簡略化することができる「売掛金管理機能」などがあります。
事務業務に関する機能
運行管理システムは、運行そのものだけでなく、運行業務に付随する事務作業についてもサポートしています。従業員のシフト作成や給与計算などの一般的な業務から運転日報の作成や報告書の作成などの専門的な業務に至るまで、幅広く対応しています。
これまでバラバラに管理されていた複数のデータを一元管理できるようになるので、作業効率が向上します。人的ミスの予防にもつながります。
運行管理システムの基本機能
運行管理システムに搭載された機能は、大きく分けて「運行業務」と「事務業務」の2種類に分けられることはお伝えしましたが、その詳しい内容について紹介していきます。
運行業務
「運行業務」とは、社用車の運行そのものに関する業務のことです。機能としては、主に「運行管理機能」「配車管理機能」「動態管理機能」「安全運転管理機能」が挙げられます。
運行管理機能
運行管理機能とは、データベースを基につくられたシミュレーションを活用して、無駄のない的確な運行計画を自動で割り出す機能のことです。これまで運行計画を作成するには、経験と知識が必要とされていました。
しかし、運行管理システムを導入することで、これらの業務が簡略化されます。運行計画作成にかかる時間を削減することができ、その分本来の業務にリソースを割けるようになります。
配車管理機能
シミュレーション機能を活用して、効率的な配車を算出・管理することができます。トラックやバスなど、配車台数を最小限に抑えることができるので、諸経費の削減につながります。
動態管理機能
動態管理機能とは、交通情報と合わせてドライバーの現在地を把握する機能のことです。予想外の渋滞や事故などが発生した場合でも、ドライバーに対してすぐに別のルートを案内することができます。集配車の配置を最適化できます。
安全運転管理機能
安全運転管理機能とは、ドライバーによる運転のクセや特徴を掴み、安全な運転を指導する機能のことです。昨今、トラックドライバーによる事故が多発しており、企業には厳重な安全対策が求められています。
これまでドライバーの運転状況を把握することは難しいとされていましたが、運行管理システムを導入することで、運転状況を管理できるようになります。
事務業務
運行管理システムには、運行業務に付随する事務作業をサポートする機能が搭載されています。その例を紹介します。
日報・運転手台帳作成機能
業務で車を使う企業は、運転日報を作成する義務があります。しかし、運転日報にはさまざまな情報を記載する必要があるため、手間も時間もかかっていました。
運行管理システムでは、出発地や目的地、走行距離、ETC情報などを自動で取得し、作成をサポートすることができます。これによって、ドライバーは本来の業務に集中して取り組めるようになり、記載ミスのリスクも軽減できます。
分析・レポート作成機能
システム上で管理されているあらゆる情報やデータを分析することができます。さらに、分析結果はレポート形式でまとめることができるので、業務改善や経営の見直しに役立ちます。
運行指示書作成機能
システム上で各ドライバーの運転手台帳を作成できます。健康診断の結果や免許の更新時期などを一括で管理することが可能です。
運行管理システム3つのタイプ
運行管理システムは、「パッケージ型」「カスタマイズ型」「特化型」の3種類に分けられます。それぞれ特徴を紹介します。
パッケージ型
パッケージ型とは、あらかじめ基本的な機能が搭載された製品のことです。必要とされる機能はほとんど網羅しています。
運行業務から事務業務まで幅広く機能が備わっているので、どの種類を導入するか迷ったときはパッケージ型のシステムを選べば間違いないでしょう。パッケージ型の運行管理システムを導入することで、あらゆるデータや情報を一元管理することができるようになります。
カスタマイズ型
カスタマイズ型とは、自社に必要な機能だけを選択して搭載することのできる製品です。予算やニーズ、導入規模に合わせて、柔軟な対応が可能です。
特化型
特化型は、特定の機能を専門的に取り扱っています。複数の機能が搭載された製品と比べて、低コストで導入することができます。
運行管理システムを導入する目的が明確に定まっている場合には、特化型製品を選ぶことをおすすめします。なお、システムを選定する際には、あらかじめニーズや解決したい問題を洗い出すことで、無駄のない導入を実現できます。
まとめ
今回は、運行管理システムについて基本情報をお伝えしました。運行管理システムとは、社用車の運行に関する業務をサポートするシステムのことです。
運行そのものに関する機能から付随する事務作業を簡略化する機能まで、幅広く搭載されています。運行管理システムを導入することで、業務の効率化を図ることができ、本来の業務にリソースを割けるようになります。
なお、運行管理システムには、「パッケージ型」「カスタマイズ型」「特化型」の3種類があります。自社の解決すべき問題を洗い出し、ニーズに合ったものを選択すると良いでしょう。
本記事が参考になれば幸いです。